敷地は駅に近く外部に対して閉じたい環境でしたが、風致地区としての緑化基準が課され、防犯上の塀よりも生垣を誘導される悩ましさがありました。幸いにも西南角の隣地境界上にあった大きなシラカシがあり、緑化基準に大いに役立つこととなりました。工事の関係で枝葉を大分切り落としましたが、2,3年先、以前のような枝ぶりに戻って、通りのシンボルとなることを期待しています。

また、 家に帰ってきた時に安らぎを覚えるような夜景にしたいと考えました。屋根と壁に囲われた玄関ポーチが光溜まりとなって、よろい窓から漏れる灯りの様子がこの家のアイデンティティになっています。

内部においては、開放感を大事にした住宅です。家の真ん中に3階まで至る階段を設け、2階のLDKとは仕切りを設けていません。さらには3階の子供室が2つともリビングの吹抜に面しており、引戸の室内窓を開放すれば、リビングとも一体化、子供室同士も一体化する仕組みとなっています。

自然光の降り注ぐ階段をいわば街路に見立て、階段を巡っていく際に立ち現れる集成材のパネルや箱によってスキップフロアの景色が楽しく見え隠れすることを意図しました。