古い家を今の時代に合った耐震補強の精密診断をするために、内部だけを手壊ししてもらいました。
まず最初に2階の天井を落としてもらったところで小屋組みの調査に入りました。宜しくない劣化はあまり見られず、二人がかりで2時間程度で終了。

その数日後、2階の床を落とし、1階も構造体を残し外装と屋根は残して内装はすべて剥がしてもらいました。

まず、手描きで梁伏図を起こし、梁せいやレベルを計っていきます。その後、土台や柱脚の劣化具合を1本ずつ記録。梯子を梁にかけて寸法を取っていったので4,5時間の作業。埃まみれの仕事でしたが、スケルトン(骨組みのみ)にした空間は、上から入る光がきれいな影を落とし、少し大袈裟ですが荘厳な空間のなかだったので、衛生面とは逆に高揚感のある作業でした。

水廻りだったところの柱脚は殆ど朽ちていました。
また、軒の出が少なく、地面に落ちた雨水の跳ね返りを受けていたと思われるところも痛みが激しかったです。でも、それ以外の柱や土台は、まあまあ健康でした。

劣化具合によっては、大部分の柱を取り換えることになったのですが、そこまでではなかったので少し安心しました。

金輪継ぎという高度な手刻みで柱脚のみ交換するやりかたは少なめにし、作業的に簡単な柱の入れ替えを多くして、工期やコストを減らしていくことが出来そうです。

その金輪継ぎを試作品を大工さんがつくってくれました。写真は寝ていますが、柱で使う技法なので建てて行います。角材からによきっと出ている細い部材は込み栓といって、木づちでたたき込んで、柱の継ぎ目を締め込んでいきます。入りきったところで、余分な部分を切り落とします。

私は私で、家づくり学校・特別構造ゼミでお世話になっている山辺先生の本「ヤマベの耐震改修」で補強方法を習得中です。ここまで本格的なスケルトンリノベは 滅多にないことで、やりがいとプレッシャーが半々といったところでしょうか。