現場は内部の造作が形になりつつあります。
この段階で、大工さんと木工事の打合せをしました。

今回、カフェの内部仕上げは、石膏ボードに塗装、パインの羽目板、木調の化粧板の3種類。
仕上げが切り替わる部分の作り方が主な議題です。

木工事では、棒状の材料の断面、「こぐち(木口、小口)」と言いますが、それを見せることを嫌います。
板状の材料の切断面はたいてい見苦しいので、そこを何かでカバーするように作ります。
仕上げが切り替わるところは、どう切り替えるか、見苦しいところをどうカバーするか注意しないと仕上がりが全く違ってくるので、今回の打合せは大事なポイントなのです。

さて、その「切り替え方」ですが、コストにも係わることなので、出来るだけ図面に書き、見積にも反映させます。
現場での打合せは図面の確認がメインになりますが、図面に書ききれないことや、見積には影響ない範囲で選択肢があるケースもあって、その話し合いをしたり、場合によっては大工さんからアイデアをいただくこともあります。

IMG_3491打合せ後の現場。パイン材の腰壁の作りかけです。
パイン材を横向きに張った上に木の板を当てて、パイン材の側面が見えないようにしています。
この上に付けた木の板のことを「見切り」といいます。
一般的には「見切り」というと「見切り品」とか「見切り発車」とか。あまりいいイメージがないですが、建築の世界では美しく「見切る」ことが大事。仕上がりの良し悪しが決まりますので…。

ちなみに、これば壁の角の部分で、パイン材を斜め45度に削ぐようにカットしてあります。ここに同じく45度にカットした材料をくっつければ、材料のお互いの切断面をカバーしながら90度の角が作れます。
この45度にカットした材料どうしを付けるやり方、業界用語で「留め」「留め加工」といって、それなりに手間のかかる仕事です。

IMG_3483その他、カフェのカウンターの角をどうするかも話題になりました。
お客さんがカウンターの上に手を置くと、カウンターの角が腕に当たります。
直角のままでは痛いので、斜めにカットします。
45度にカットするなら機械でやれるので簡単だそうですが、もう少し角度が浅い方が、腕に優しく当たる感じがするので、ワガママ言ってこんな風にカットしてもらいました。大工さんには手間をかけてしまいました…。

打合せで細かい話をする分だけ、大工さんの仕事は増えるのかもしれませんが、図面に描ききれない細かなところを確認しながら作ってくださることに感謝感謝です。

でも出来上がってみると、一般の人にはあっさりと普通に見えるはず。実は舞台裏では、色々な人が心を砕いて建てているのです。
今度、ご自分の家を観察してみてください。
(白崎治代)