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シーズ・アーキスタディオ Seeds Archi-studio

おまけ付きの家 -スキマをたのしむ-

都市部の住宅地では、庭の景色を楽しむことは、とても贅沢なのかもしれません。建ぺい率いっぱいに家を建て、残りがガレージや玄関ポーチになる。「植込みが少しでもあれば十分」というケース、けっこうあると思います。

私達が設計したHT-Houseも、「庭」と呼べる広さのあるものはつくれませんでした。でも、その景色は存分に楽しめます。今回はその仕掛けをご紹介しましょう。

玄関夜景・ガラスレンガが窓に映り込む

下足入と開口部のコンポジッション

下足入れの足元に広がるスキマの庭 

玄関の下足入は、そのカウンター下が一部窓になっています。窓の外に見えるのは庭の景色です。でもここは、実は建物と塀の間、わずか50センチの場所で、「スキマ」と言われてしまいそうなところです。この50センチの「スキマ」を、砂利と植栽で整え、玄関からは長手方向で見せるようにしているのです。すると玄関からは、足元に庭の景色が広がっているように見え、奥行を感じられる空間になります。この奥行をさらに楽しむため、玄関扉の脇も透明ガラスを入れ、扉の外からでも庭が見えるようにしました。

ここでは、さらにおまけを付けました。
それは、下足入の下のガラスレンガです。普段あまり見かけない素材なので、玄関に入ると思わずそちらに目線が行ってしまいます。そうすると、自ずと足元の窓の景色が意識される仕掛けです。このガラスレンガの下には照明が埋め込んであり、夜には、光に照らし上げられたガラスレンガが窓に映り込み、また別の景色が奥行を感じさせてくれます。

(上)玄関夜景・ガラスレンガが窓に映り込む
(中)下足入と開口部のコンポジッション
(下)下足入の足元に広がるスキマの庭

おまけ付きの家 -外流しを水盤に-

表は水盤
中庭の水盤.
裏は外流し
水盤の裏側.散水栓がある.


池や噴水が欲しい。家を建てようとする人なら一度は夢見るものの一つです。しかし、循環ポンプ設置による費用面やメンテナンス面から、なかなか実現するのは難しいようです。
一方、外部空間には手足の泥を落としたり、樹木の水撒きのために外流しが必ず必要になります。
屋外に給排水設備を用意するのに、池をつくることはなかなかできない。。。
シーズ・アーキスタディオが考えたのは、外流しの水栓から流れる水をステンレスの水路を通って水盤に落とすというものです。
水路は日本庭園の鹿威し(ししおどし)からヒントを得ました。
水は底の浅い水盤に溜めてオーバーフローさせるだけですから、ポンプは付いていません。水盤が苔生してきた時は底の砂利に隠してある排水口のゴム栓を外して水を抜くだけ。
・・・水路から流れ落ちる水の音で涼感を楽しむ。
・・・水路からの水は止めておいて、風で揺らぐだけの水盤を楽しむ。
・・・忙しくて庭の手入れができそうにないとき、または冬の間は水盤の水を枯らしておいて、中庭のオブジェとして楽しむ。
気楽に水を扱ってもらえるようにシンプルな仕組みで設計した、ちっちゃな水溜りです。

おまけ付きの家 -家庭の象徴-

その家庭の象徴となるものを、外から判るところに何らかの形で表現したいと思っています。これも家の骨格に関わることではないので、「おまけ」といっていいものです。

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これは「六条の家」の玄関脇の出窓です。

華道をたしなむ奥様の趣味の場です。来客のとき、あるいは季節の変わり目にこの出窓が花で満たされます。

この出窓はサッシのない、ガラスだけで構成されたものです。サッシを無くすというのは、設計も施工も難易度の高いものですが、奥様の趣味の場に余分なものは登場させたくなかったので、敢えてそういう設計をしました。

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この写真は「HT-house」の道路側の外観です。

この家には仲の良い3人の姉妹がおり、今は3人分の子供部屋を仕切らずに使っています。その子供部屋に面する窓を、それぞれの背丈に合わせて高さの違う窓を用意しました。

子どもはそういったことにすぐに反応してくれます。

「○○ちゃんの窓だね。」

まん中のお子さんが、背伸びしたり腰をかがめたり。

身長が伸びれば見える風景も違ってくるということで、それも面白いのではないかと考えました。

小さい窓ですが、やがて年頃を迎える女の子たちの窓。向い側から覗かれる心配が無きにしも非ずということで、スリガラス調のフィルムを貼り、フィルムに4つの小さな正方形を切り抜きました。

小さな窓の小さな風景がそこから見えます。

おまけ付きの家 -窓まわりのおまけ-

家づくりにおける「おまけ」とは?
私の言う「おまけ」とはいろんな場面で登場します。
機能以外のこと、それがなくても用は足りる。だけど、こんな「おまけ」を付けたらもっと楽しいことが。。。といった意味合いのものです。
たとえば窓をつくる場合ひとつとっても、採光・通風といった機能以外に、外部のよい景色だけを見せて邪魔なものを切り取ってしまうと得した感じになります。

また、切り取り方によっては景色の中に新たな発見が生まれたりします。

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上の写真は、2階にある南側書斎の丸窓からリビングの吹抜け越しに北庭を望んだものです。

下の写真は吹抜けの2階から撮ったもので、左にある丸窓から撮った写真が上段のものです。

書斎から吹き抜け全体を見せずに、景色を丸く切り取ることで、家のシーンが違って見えてくる例です。

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また窓から効果的な光が入るなら、そこに気に入ったものを飾ると、住み手の楽しみにもなるでしょう。どうせ好きなものを飾るなら、あえて窓のガラスをスリガラスにしてガラスの向こうを見せない方法もあります。

上の写真はマンションの玄関下足入れにつくったガラスの飾り棚です。

スリガラスの向こうは実はユニットバスです。それまではマンション特有の暗い玄関でしたが、このスリガラスを嵌めこむことで、浴室の光がバックライトとしてガラスの小物たちを浮かび上がらせ、華やかな雰囲気を玄関に与えています。

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ガラスもスリガラスだけではありません。ストライプ状に透明・不透明を組み合わせたフィルムを貼ると、ガラスの向こうの景色が水墨画のように見せることができます。

そうすると、この写真のように、インテリアの置き物が「主」、後ろの景色が「従」となって、内と外の両方を見せながらもメリハリの効いた飾り方ができます。

私の言う、窓まわりの「おまけ」。いかがでしたか?
窓は「外」と「内」をつなぐ大事なアイテム。ほかにも、きっと色々な「おまけ」が出来るはずです。

おまけ付きの家 -豊かな家って?-

街中で買ったものや、頂いたもの。お気に入りのものは、お気に入りの場所に飾りたい。

豊かな家って何だろうと考えます。

工夫いっぱいの間取り、完成度の高いデザイン、高気密・高断熱、これらを積み重ねていっても「豊かな家」を定義することは難しいでしょう。

家の「豊かさ」の決め手は、結局は住み手がそう感じているということだと思います。そして、それは、住み手のライフスタイルや考え方によるところが大きく、一設計者の力の及ぶところではないのだろうと思います。

でも、住む人がその家に「豊かさ」を見出すためのお手伝いなら、きっとできると信じています。

私たちは、暮らしがより楽しくなるようなお手伝いとして、「ちょっとした遊び」を「おまけ」に付けたいと思っています。

「雨露しのぐ」という住居本来の目的からしてみると、遊びの部分はまったく必要のないことです。遊びは無くても家は「家」であり、十分暮らしていけます。でも必要のないことに楽しみや意義を見出してしまうのが日々の暮らしであり、遊びのあるなしで、暮らしの豊かさに大きな差がでるのではないかと思っています。

「ちょっとした遊び」は、ちょっとだからこそ、住み手の心をくすぐります。
お手製の照明器具。A2サイズのワーロン紙1枚でつくりました。

私たちがどんな「おまけ」を住み手の方に提供しているか、これからシリーズにして紹介していきます。

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